四川の4つの世界遺産

九寨溝

1.九寨溝

九寨溝(きゅうさいこう)は標高2,000m~3,500mにある原生林に囲まれた秘境です。100を超える大小の湖沼は、信じられないほどの透明度で、その景観は息をのむ美しさです。

峡谷を挟んで9つの村が点在することから、その名が付きました。

黄龍

2.黄龍

九寨溝の美しさに並び劣らぬのが、黄龍(こうりゅう)です。九寨溝から山を隔ててより高所にある黄龍は、石灰岩の層が棚田のようになった神秘的な湖沼群です。

季節や太陽光によって、湖面の色はさまざまに変化し、時に黄金の龍のうろこのように輝きます。

世界の絶景を旅するなら、九寨溝と黄龍は決して外すことができない場所でしょう。

3.青城山・都江堰

青城山(せいじょうさん)は、道教発祥の地で、道教関係の重要な建築物が集中しています。都江堰(とこうえん)は、10kmほど北東に離れたところにあり、なんと秦の時代(2200年以上前)に岷江(びんこう)という川の灌漑工事によって作られた水利施設です。都江堰が建設されるまでは、岷江の氾濫によって、度々大きな被害が出ていたようです。その技術の高さは、現在でも、水利、土木工事の専門家が視察に来るほどです。

4.楽山大仏・峨眉山

楽山大仏は、世界最大の磨崖仏(まがいぶつ:自然の岩崖や露岩などを彫刻して作った仏像)です。東大寺の大仏が高さ15mに対して、楽山大仏は71mとほぼ5倍の高さになります。あまりの大きさに大仏の足元の地上からは全体を見ることができません。楽山大仏は長江の支流である岷江(びんこう)の氾濫を治めるために建立されましたが、その岷江の遊覧船から眺めることをお勧めします。この巨大な大仏の建立には90年という長き年月が費やされました。

楽山大仏と共に世界遺産に登録されている「峨眉山(がびさん)」は、中国においては道教や仏教の聖地で中国三大霊山の一つです。芥川龍之介の短編小説「杜子春(とししゅん)」で、主人公の杜子春が仙人になるための試練を受けるのが峨眉山です。試練は何があっても口をきいてはならないというものですが、自分への責め苦には声を発しなかった杜子春が、母が苦しむのを目の当たりにして「お母さん」と叫んでしまうというお話です。最高峰は3000mを超え、いまでこそ一部ロープウェイで登ることができますが、建立当時は仙人が住むと言われても信じることができたでしょう。頂上の「金頂」には普賢菩薩を祀る絢爛豪華な黄金伽藍が建ち並んでいます。

三星堆遺跡

三星堆遺跡(さんせいたいいせき)は、5000年以上前の儀式の痕跡が残る古代中国の遺跡の一つです。3400年前に作られた青銅で作られた像は独特な容貌をしており、力強さにあふれています。写真の立位像は、全高261cmの巨大な人物像で王の像ではといわれています。かつては手に象牙を持っていたのではないかと考えられているそうです。三星堆遺跡では、4つの金面をはじめ、数多くの仮面や人頭像が発掘されています。

当店には、小さいレプリカを飾っています。左端が立位像、右端も三星堆遺跡で発掘された青銅製の鳥を模したものです。是非ご来店の上、お楽しみください。

三国志の時代から

四川省の省都である成都は三国志の舞台として有名です。三国時代には劉備玄徳が成都に「蜀」の国を興し、諸葛孔明とともに活躍しました。唐代に詩聖として名高い杜甫が住んで詩を作った「杜甫草堂」も公開されています。

春望

【原文】 【書き下し文】

国破山河

在城春草木深

感時花濺涙

恨別鳥驚心

烽火連三月

家書抵萬金

白頭掻更短

渾欲不勝簪

国破れて山河在り

城春にして草木深し

時に感じては花にも涙を濺ぎ

別れを恨んでは鳥にも心を驚かす

烽火三月に連なり

家書萬金に抵る

白頭掻けば更に短く

渾べて簪に勝えざらんと欲す

 

【現代語訳】

国の都である長安は、戦乱によって破壊されてしまったが、山や河などの自然は昔と変わりない。

町にも春が来て、草木は深く生い茂っている。

平和な春ならば花を見て楽しいはずだが、このような戦乱の時を思うと花を見ても涙が出てしまう。

家族との別れを悲しみ、鳥の鳴き声を聞いても心が痛む。

戦火は3ヶ月も続いていて、家族からの手紙は万金に相当するほど貴重なものに感じられる。

白髪になった頭をかけば、心労で髪が抜けるので、簪(かんざし)もさせなくなりそうだ。